創作理念
   
 人、もの、こと 
   
 「誠実なもの」
   
 「森」を感じる
 作品の特長
   
 「一品生産品」だからこそ
   
 「作品住宅」を共に創る
   
 真の建主利益
   
 心の豊かさを
   
 「素性」をあるがままに
   
 「自然」や「まち」との共存
    永く住み継がれる建物としての性能
 技術
   
 施工図としての詳細設計
   
 「詳細モデリング」による3D-CAD設計
   
 精分析の見積監理
 
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創作理念

 

人、もの、こと

私たちは、建築とは、建物というものを通して、人、もの、こと の関係をつき詰めることと考えている。そして、これらの関係を分析し整理することをねちっこく行った建物が、結果としてよい形の建物にもなると考えている。

 

「誠実なもの」

「本質」を追求してつくられた もの というと、職人の道具が頭に浮かんでくる。職人は、一時的な流行や見たくれなどとは関係なく、自分の片腕として頼りになり、永く信頼できる道具を求めている。その道具のつくり手も、職人のめがねにかなう道具をつくるべく、精魂を傾けている。彼らもまた職人なのである。そうして創られた もの は、機能性、耐久性、操作性、メンテナンス性などが追及されている。そして、その結果そなわった美、つまり機能美が職人の道具にはある。ときには、精神的な奥深さをも漂わせることもある。

実際にプロの道具には、飾りのような付加物は一切ない。そして、その道具の「本質的」な部分を見事に浮き上がらせている。「解る人」が、「解る人」のためにつくった、嘘や誇張の無い「誠実な もの」だ。

しかし現在の市場では「誠実な もの」は、極めて少ない。とくに、一般消費者を意識した もの は、流行にのせるようにとか、目に留まるようにとか、そんなことのために多くのエネルギーが使われている。

私は、そのような もの とは出来る限りかかわりたくない。もの をつくる人間として、一つ一つ丁寧に、嘘や誇張の無い「誠実な もの」を創り続けることを、信念としている。そして、「誠実な もの」を求める建主が一生の相棒にできる もの をもてるとよいと思っている。

 

「森」を感じる

「デザインされたもの」というと、見た瞬間に、なにか衝撃的なインパクトや直接的なメッセ−ジを持っているものだ、と思いがちである。確かに、今の世の中はそのような「視覚的に意識させるデザイン」が主流だ。

私の場合は、それとは対照的に、いわば「無意識のデザイン」を追求している。それは「心身全体」で感じられる「居心地の様なもの」のデザインだ。そして、人の「目」を直接刺激することのないデザインだ。

たとえるならば、自分が森の中にいるときの感覚に近い。そのとき、人は、木の一本一本を見ているのではない。森全体を眺めているのでもない。「森の気」を「心身全体」で受けとめているのである。そこにたたずむだけで、自然にリラックスし、身も心も「無意識」のうちに開放されている状態だ。また、森の空気には独特の奥深さがある。それは単に木が沢山あるという物理的な量によるものではない。それは森の神の存在を感じさせる様な、森特有の「精神性」による。

人を包み込むものが、人の心身に及ぼす影響は計り知れない。私は、人と建築や環境のことを考える時、森的な環境を思い浮かべる。そして、それを「居心地のデザイン」としている。

 

作品の特徴

 

「一品生産品」だからこそ

住宅を設計する場合、与条件が同一であるということは有り得ない。敷地も違えば、住む人も様々だ。しかし、ハウスメ−カ−などでは「半既製品」の範囲内で、組み合わせ方を変えることによって対応している。それはある程度、誰にでも合っていそうだが、裏を返せば、誰一人にも合っていないとも言える。大抵の人は納得するか、妥協している。しかし、他方で、そういう半既製品のお仕着せの枠ではおさまりきれない、おさまりたくない人達も少なからずいる。

私たちの作品は、そういう人達のための「一品生産品」として創られている。そして、「一品生産品」だからこそできる提案に努めている。

 

「作品住宅」を共に創る

「商品」は商業的な取引を主目的とする。一方「芸術」は本質追求を主目的とする。だから、「芸術」は、必ずしも商業的な取引となじまない場合も多い。同様に、工務店やハウスメ−カ−の「商品住宅」と、建築家の「作品住宅」は、異質なものといえるだろう。建主が望むもの、つくり手の立脚点、つくり手と建主の関係などには、かなりの違いがある。完成する住宅も相当違う。

「商品住宅」の場合、建主は品定めの際「良い住宅を安く買いたい」と思うことだろう。一方、工務店やハウスメ−カ−は、商業を追求しているのだから当然「しっかり儲けたい」と思うことだろう。そうであっても、お互いが共に「商品住宅」として認識し、取引してさえいれば何の問題もない。しかし、建主の住宅に対する思いが深い場合、又は、特別な場合、それを「商品住宅」から求めるのにはかなり無理があるだろう。それは、建主と業者の目的も思いも一致しないのだから仕方ない。

建築家の住宅の場合は、建主が抱いている住宅への「思い」や「条件」を客観的に分析し適切に整理し、具体的な形にしていく。ここでは「より良いものを創りたい」という建主と建築家の思いも一致している。その関係は、チームプレーで得点を挙げるのに近い。

私たちは、このチームプレーが最良となるように、いつも建主の方にも積極的に作品づくりに参加してもらっている。私たちの「作品住宅」の創造にはそのような建主の協力は不可欠なのである。 

 

真の建主利益

欠陥住宅発生の直接責任は請負者の能力や不誠実にある。しかし、その発生は、消費者の意識行動にも起因すると専門家は分析指摘している。どの分野でも、消費者の都合に無理やり合わせた結果、「悪い商品」が出来上る例は少なくない。

たとえば、色も形もよく、虫食もない野菜はよく売れる。しかし農家ではそんな薬漬の野菜は誰も食べない。今日の市場では、「売れるもの」と「良い物」とは、もはや一致していない。

この例のように、大抵の消費者は、知らず知らずに、「都合がいい要望」とか、「部分的ないいとこ取り」をしたりして、それに応じてくれる方へと向かってしまう。家電商品などでは「そのくらい、応えるのが当たり前。そうできないのは企業努力が足りない」くらいに思うのが相場だ。しかし、住宅建設では、調子よくそれに応えてくれる企業の方が、後が危険なことも多い。これが「建主ニーズ第一主義」の実態である。

長い目、広い視野から、良い建物を提供するのは、並大抵なことではない。「良い提案」であるためには、時として建主に「いいとこ取り」を諦めてもらわなければならないこともある。それは、建主にとっては、「厳しい提案」として受け止められることもあるだろう。私たちの建築作品づくりでは、「建主ニーズ第一主義」ではなく、「真の建主利益」を判断根拠としている。これが永い目での建主の満足に直結すると考えている。

 

心の豊かさを

時をさかのぼると、「もの が不足していて、心が満たされない」という時代があった。次に、もの が自由に手に入るようになり、「もの によって心が豊かになると思い込んだ」時代があった。そして、今、「もの があり過ぎて、心が満たされない」時代にある。いまや、私達の身の回りには、「有ったほうが心を豊かにする もの」よりも、むしろ、「無いほうが心を豊かにする もの」の方が沢山あるのかもしれない。

そんな時代背景のなか、私たちの建築作品は、もの の方ではなく心の方を主題としている。空間の「精神性」追求に努めている。

 

「素性」をあるがままに

このところ、一般商品の多くは余りにも軽薄で、もっぱら、「表面的な美」がもてはやされている。時代を超えてゆるぎない肉体の健康美、精神の内面美、素の美しさなど、「本質美」と呼ばれるものがすっかり陰に追いやられてしまっているのが現状だ。

私たちの作品では、材料の選択や使用方法において、各々の材料に固有の「素」の美しさに着目し、それをあるがままに生かすことに努めている。

 

「自然」や「まち」との共存

どんなに過酷な環境条件、敷地条件においても、私たちの建築作品は、光と風を感じて生活することを、絶対条件としている。それは、どんなに設備技術が発展したとしても、「自然」の循環に接してこそ、人の生活が豊かに営まれると考えているからだ。そして、「自然」の厳しさをも含めて、「自然」とのより良き共存を目指している。

また、建物は個人の所有物であるが、同時にまち並を形成する公共資産である。私たちの建築作品は、どんな場所においても、「プライバシ−性」と同時に「地域とのコミュニケ−ション性」を保持し、「まち」とのより良き共存を目指している。

最近、どの地域も、ハウスメーカーや類似の建材によって、町並みの地域性がすっかり失われてしまった。私は、「これからの下町らしい町並み」の創出と継承の活動や研究を行っている。といっても古い懐古な建物を創ろうと言うのではない。「なつかしさと下町風情のある、近未来的な住宅」を得意としている。

 

「時」の流れる音が感じられる空間

一つ一つの もの は、それぞれが独自のメッセ−ジを発している。そして、 もの が増殖すると、多種多様なメッセ−ジを騒音のごとく発するようになる。そんな喧騒空間の中で日常生活を送るうちに、知らず知らずストレスを溜め込む人も多いはずだ。

私たちは、そんな もの の騒音から開放され、静けさを取り戻すことを提案している。静けさを取り戻した空間では、風が緩やかに通り抜ける音や、光が交差して揺らぐ音が感じられる。そして、静かに時が流れ、疲れた心を自然に癒してくれる。そんな「時」の流れる音が感じられる空間を創りつづけている。

 

永く住み継がれる建物としての性能

私達のつくる建物はスペック(性能)を主題とする建物では決してない。しかし、特に「永く住み継がれる建物」を目指しているため、ベースとする性能として、一過的な流行を越えた大変厳しい基準と考え方を持っている。これに建主の考え方を加え、機能性、耐久性、維持メンテナンス性、生涯経済性、室内温熱環境性、地球環境性などの各スペック値を設定し、設計を行っている。

 

技術

 

施工図としての詳細設計

たしかに、建物こそが最終的な成果物です。しかし、その出来の善し悪しは設計と監理の手法で決まるといっても過言ではありません。いくら、よい案を出せても、よい絵が描けても、現場での建物をつくる過程を十分に理解把握していない場合、よい建物にはならないのは明白です。たとえば、イメージや発想を描くことに徹して、納まりや実現方法は専ら工務店に任せるといった設計者も多いようですが、これは問題であると思います。

一方、大手ではなく町場の建設会社では、施工図(*1)は、検討し描ける能力や経費がないため、ほとんど制作されないのが実情です。問題箇所において、ほんの少量の各部分詳細図が制作されるのがせいぜいです。良質な建設には各部、各工事の関係を検討した総合詳細施工図が不可欠であるため、不備な現状を痛感しています。

このような背景から、私たちは、各工事内容を盛り込んだ総合詳細施工図をはじめ各種製作図をも設計者自ら製作しています。設計事務所としては珍しいですが、私たちの得意分野でああります。これが、町場の工務店とともに、良質な住宅作品を完成させることが出来る、現在唯一の方法であると考えています。

1 施工図:建物を実際に建てる総合検討がされた図面で、通常は施工者が描きます。

 

「詳細モデリング」による3D-CAD設計

最近の世の中のITの進化は目まぐるしく、建築設計の分野でも、PCの使用は当たり前のようになりました。しかし、建築設計の分野は他分野と比較すると保守的で、そのIT進化は大変遅いと言わざるを得ません。

大手ゼネコンや大手組織設計事務所のうち、先進性があるところでさえ、まだ主流は2D-CADであり、パ−スなどに一部3Dが用いられる程度にとどまっています。2D-CADの導入で、手で線を描くことがPCで線を描ことに代わり作業効率が向上したり、設計図書が見やすくなったりはしました。しかし、あくまで設計手法としては手描きとなんら変わりはないのです。

一方、建築設計用3D-CADはこれまで、そのソフトやPCの性能が実務には十分とは言いがたく、ほとんど、普及していません。ここ1〜2年でようやく、実用粋に成熟した状況です。よって、まだまだ、設計手法や規準も確立されていません。当然、操れる設計者もほとんどいません。移行へのハードルも高く、まだまだ、普及の兆しも弱い状況です。

また、3D-CADでの設計者のうちのほとんどが「概モデリング」(*1)による3D設計を行っています。この方法は確かに3D設計への近道です。また、設計者の建築実体の理解度がついてこないこと、3D-CADソフトやPCの性能が見合わないこと、を考えると仕方ないでしょう。しかし、「概モデリング」は3D設計の多くの恩恵をも失ってしまうので残念だと思っています。

私たちは10年以上前から3D-CADを使い実務設計を行っています。その当初から「詳細モデリング」(*2)による3D-CAD設計にこだわってきました。それは、各部材の綿密なシュミレーションにより、総合的な納まりや関係、干渉などのチェックを3D画像として目視しで行えるからです。良質な建築の設計には最適な手法であります。といっても、施工図(*3)レベルの詳細モデリングを3D-CAD設計するのにかかるデータメモリ量は膨大です。私たちが3D-CAD設計を始めたころは、まだ、PCやソフトの性能上、住宅規模でさえ「詳細モデリング」による3D-CAD設計を行うのは至難の業でした。現在でも、少し大きな建物では困難です。「詳細モデリング」による3D-
CAD設計は、私たちが、小さい設計事務所であるからこそ、住宅を主に設計しているからこそ、可能となった理想的な手法であると言えるのでしょう。                         (CAD-CG200811より慨説)

現在、私たちは建築3D-CADソフト「Arch-CAD」の開発モニターとして、また、建築学会の統合プロジェクト推進法(IPD)研究WGの委員として、3D-CAD設計手法の考察を行っています。

建築設計手法の段階を模式にしました。現在、私たちはBIM1段階で行っています。

 
1 概モデリング:床天井、壁などの部位を大きな1つの面としてモ
   デル化すします。各部位の内部はモデル化されません
2 詳細モデリング:全ての建築部材(構造材、仕上げ材、下地材、
   等)をモデル化して集積させる方法です。各部材の仕組みや、部
   材相互の関係が分かります
*3 BIM:仮想空間上の建築部材モデルに建築実体に即した情報
   を付加し、多様な分析検討を可能にする設計手法です。

 

精分析の見積監理

私は、施工者として見積書を製作していた実務経歴をもっています。また、現在の私たちの設計事務所においても、分離発注方式建設や自主建設のプロジェクトでは見積書作成の業務を行っています。さらに、見積りに関する研究やコンサルタントなどの業務実績があります。これらの経験から、相場値、工務店の仕入れ値、値引きの可能性と限界、付随経費、発注先のトラブルの可能性、などの多くの見積り監理知識を得てきました。

これらにより、綿密な見積り監理と合理的な減額交渉材料の作成が可能です。具体的には、各細項目の適正安値を積み重ねていくという、見積監理手法を取っています。一般的によく行われる、全体の「ネット値による値引き交渉」は行ないません。この方法は、工務店にとっても、設計事務所にとっても、楽な方法ではありますが、建築の質が損なわれたり、後でトラブルや損を招くことがほとんどだからです。また、各細項目の適正安値を積み重ねていくことは、施工者の能力や適正を探る上でも、とても大事な作業と考えています。

 

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