ものごとについて、深く慎重に考えを突き詰めていくと、合理性や性能の追求だけでは不十分であることに気付きます。その先にある重要なものを取りこぼさないよう、心深く取り組むことを信条にしています。
住宅の性能担保のために、住宅性能表示や長期優良住宅の認定制度の利用を推奨します。耐震等級、省エネ等級、劣化対策、維持管理対策などを、基準値以上とし、住宅の長寿命化を図ります。
制度を利用しない場合や、低予算の場合でも、全体的に安くではなく、好バランスな予算配分にすることで、性能確保を目指します。
昔の木造建物は、しっかり造って手入れを怠らなければ、200~300年はもつものでした。国土交通省の200年住宅は少し大げさかもしれませんが、私たちは、80年程度を想定して創ることが現実的だと考えています。
日本古来からの「伝統工法」には、永く住み継ぐための技術が集結しています。それを取り入れつつ、長持ちする現代の木造を提案します。
建築には、数値で測れない性能も多くあります。私たちは、性能を包括的に担保するために、10年以上前からバーチャルビルド(BIM設計)を行っています。
3Dバーチャル空間で設計シミュレーションすると、図面では見えなかった複雑な納まりや、隠れた干渉箇所が、まるで現場で実物を検査しているかのごとく、目視によって、事前にチェックすることができます。
BIM設計のもう一つのメリットは、設計段階で随時バーチャルツアーができることです。3Dバーチャル空間内を自由に移動し、暮らし方を隅々まで確認していただけます。
随時バーチャルツアーができるのは、3D空間でダイレクトに設計しているからです。BIM設計では、図面は副産物で、完成した3D建物から切り出して作ります。不整合のない図面で設計品質を担保します。図面で設計する従来の方法とは逆の発想です。
余分なデザインを施さず、機能に忠実なデザインを推奨します。そのようなデザインには、流行がなく、時代を経てもすたれません。
高価でなくても、良質な自然素材を、できるだけ加工せず、その風合いを生かしたまま使用することを推奨します。体に心地よいとともに、古くなるほど味わいが増し、生活に深く馴染むものとなります。